読んだ本。秋から年末。
2012年 12月 31日
モダンタイムス 伊坂幸太郎さん お薦め度 ☆☆☆
魔王の続編。近未来、50年後の監視社会。ゴールデンスランバーのよさに比べるとイマイチな感。長く引っ張った割りあいに、そういうことになっている、で終わりはないだろう。しかし、冗談のような台詞は笑えた。適当な人物氏名も笑える。大石倉之助とか。
らしくないといえば、らしくない作品だ。
禁猟区 乃南アサさん お薦め度 ☆☆☆☆
警察官を取り締まる部署の話。警察にも悪い奴はいるわけで、それを専門に水面下で調査が蠢く。人が落ちていく瞬間とは、みたいな人情話的でもある。初めて読んだ作家だ。警察の話は苦手だな、という感が強いせいか、間もおくようなところがあった。それでも、愉しめる作品集だ。宮部みゆきとはまた違った、人情を描く。
何もかも憂鬱な夜に 中村文則さん お薦め度 ☆☆☆☆☆
死刑因と向き合う刑務官の話。刑務官も施設育ちや、親を殺したのではないかという妄想があり、綿密に絡んでいく。純文学とエンタメを交互に読む癖をつけたせいで手に取ったが、かなり面白い話だ。面白いは失礼かな。引き寄せられる。じんわりと向き合える。容易にまとめれば、若者の成長物語ではあるが、救いの差し出し方が胸に明かりを灯す。初めて読む作家。
きりきり舞い 諸田玲子さん お薦め度 ☆☆☆☆☆
時代物。初めて読む作家。東海道中膝栗毛作者の娘の話。奇人、変人に囲まれて、まともであろうとする、まいの滑稽さ。取り巻き陣の面白さのさることながら、奮闘するまいは果たして無事に嫁にいけるのか、短編連作で読者を引き込む。料理人の話が有名な作者だが、これもまた裏切らない。お勧めを受けて読んだ作家だ。見事に大当たり。
猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子さん お薦め度 ☆☆☆☆
毎度の小川洋子さん。好きな人にはぴったりで、苦手な人は苦手なようだ。私は好きだ。
友達のいないこどもが、何かの世界(大人の専門分野というか)に迷い込むのが得意な方。これも多分にもれず、チェスの世界に潜っていく。日本ではないように思えるが、はっきりとはわからない。アマチュアチェスの世界だが、そこでひっそりと生きていく。退屈ではあるかもしれないが、様々な事件は起きるので、どうなるのか展開は見過ごせない。
最悪 奥田英夫さん お薦め度 ☆☆☆☆
初めて読む作家。しかも長い。三人の生活が、どう結びつくのかさっぱり接点が見えない中でも、それぞれにのめりこんでいく。描写が綿密なせいだろう。最悪へ突入し、合流するのはラスト付近。さらに全力疾走で駆け抜ける。結末は驚きもないが、充実感は残されるのだ。軽いタッチと重い筆力を分けているのも魅力かもしれない。
その日の前に 重松清さん お薦め度 ☆☆☆☆
死を前にして、人はどれほど無力か。まるで、うまく行かない恋をどうにかしようと必死でもがく様に似ていなくもない。それぞれの短編が、端のほうで微かに繋がっている遊びは面白い。しかし、死を扱えば人の心は動揺してしまうのは当たり前で、そこは少しずるくも思える。減点しようのないところに、減点したい。だって必ず泣いてしまうのは、わかりきっているから。
鳥人計画 東野圭吾さん お薦め度 ☆☆☆
スキーのジャンプ競技の殺人事件。犯人は早くにわかるが、動機が曖昧である。そこに、この面白さが隠されている。スポーツを推理物に取り入れた珍しい彼の初期作。当たり外れのなさも、東野さんの魅力かもしれない。特に惹かれるというほどではないのだが、そつなくまとまっている。
人物の魅力を出すシリーズ物とは違う。
順序は逆だった。上が最近。
明日は元旦から、校正作業に入る。
いいことありますように。
魔王の続編。近未来、50年後の監視社会。ゴールデンスランバーのよさに比べるとイマイチな感。長く引っ張った割りあいに、そういうことになっている、で終わりはないだろう。しかし、冗談のような台詞は笑えた。適当な人物氏名も笑える。大石倉之助とか。
らしくないといえば、らしくない作品だ。
禁猟区 乃南アサさん お薦め度 ☆☆☆☆
警察官を取り締まる部署の話。警察にも悪い奴はいるわけで、それを専門に水面下で調査が蠢く。人が落ちていく瞬間とは、みたいな人情話的でもある。初めて読んだ作家だ。警察の話は苦手だな、という感が強いせいか、間もおくようなところがあった。それでも、愉しめる作品集だ。宮部みゆきとはまた違った、人情を描く。
何もかも憂鬱な夜に 中村文則さん お薦め度 ☆☆☆☆☆
死刑因と向き合う刑務官の話。刑務官も施設育ちや、親を殺したのではないかという妄想があり、綿密に絡んでいく。純文学とエンタメを交互に読む癖をつけたせいで手に取ったが、かなり面白い話だ。面白いは失礼かな。引き寄せられる。じんわりと向き合える。容易にまとめれば、若者の成長物語ではあるが、救いの差し出し方が胸に明かりを灯す。初めて読む作家。
きりきり舞い 諸田玲子さん お薦め度 ☆☆☆☆☆
時代物。初めて読む作家。東海道中膝栗毛作者の娘の話。奇人、変人に囲まれて、まともであろうとする、まいの滑稽さ。取り巻き陣の面白さのさることながら、奮闘するまいは果たして無事に嫁にいけるのか、短編連作で読者を引き込む。料理人の話が有名な作者だが、これもまた裏切らない。お勧めを受けて読んだ作家だ。見事に大当たり。
猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子さん お薦め度 ☆☆☆☆
毎度の小川洋子さん。好きな人にはぴったりで、苦手な人は苦手なようだ。私は好きだ。
友達のいないこどもが、何かの世界(大人の専門分野というか)に迷い込むのが得意な方。これも多分にもれず、チェスの世界に潜っていく。日本ではないように思えるが、はっきりとはわからない。アマチュアチェスの世界だが、そこでひっそりと生きていく。退屈ではあるかもしれないが、様々な事件は起きるので、どうなるのか展開は見過ごせない。
最悪 奥田英夫さん お薦め度 ☆☆☆☆
初めて読む作家。しかも長い。三人の生活が、どう結びつくのかさっぱり接点が見えない中でも、それぞれにのめりこんでいく。描写が綿密なせいだろう。最悪へ突入し、合流するのはラスト付近。さらに全力疾走で駆け抜ける。結末は驚きもないが、充実感は残されるのだ。軽いタッチと重い筆力を分けているのも魅力かもしれない。
その日の前に 重松清さん お薦め度 ☆☆☆☆
死を前にして、人はどれほど無力か。まるで、うまく行かない恋をどうにかしようと必死でもがく様に似ていなくもない。それぞれの短編が、端のほうで微かに繋がっている遊びは面白い。しかし、死を扱えば人の心は動揺してしまうのは当たり前で、そこは少しずるくも思える。減点しようのないところに、減点したい。だって必ず泣いてしまうのは、わかりきっているから。
鳥人計画 東野圭吾さん お薦め度 ☆☆☆
スキーのジャンプ競技の殺人事件。犯人は早くにわかるが、動機が曖昧である。そこに、この面白さが隠されている。スポーツを推理物に取り入れた珍しい彼の初期作。当たり外れのなさも、東野さんの魅力かもしれない。特に惹かれるというほどではないのだが、そつなくまとまっている。
人物の魅力を出すシリーズ物とは違う。
順序は逆だった。上が最近。
明日は元旦から、校正作業に入る。
いいことありますように。
by kaseno-sanpo
| 2012-12-31 13:49
| 思うこと