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明るく、笑顔で。陽光浴びて、歩いていこう。

by kaseno-sanpo

返すのが惜しまれる本。

 最近は本も買った事がない。
 ここ数年の読書はすべて、図書館の借り物だ。
 毎週末にせっせと一冊借りては、一冊返す。
 年間にすると、約50回繰り返すことになる。
 ひとと距離を隔てても、恥かしいとは思わない。
 わたしには、ときどき口ずさみたくなる歌がある。中島みゆきの「時代」だ。
 まわるまわるよ、時代はまわる。
 いいとき、わるいとき、それはきっと交互にやってくる。
 どうしてみんな、若い時にそれほどすごいものを作れるのだろうか。
 だが、遅咲き、という言葉もある。
 勇気付けてくれる数々の歌を口ずさみながら、頑張ろう。もし、わたしに強みがあるとすれば、それは情熱だ。

 読んでいる本。(これはまだ、途中だがお薦めしたい)
 小さいおうち     中島京子さん。     おすすめ度 ☆☆☆☆☆

 いづれ返さなければいけない本だが、これは手許に置いておきたいと思えた久しぶりの本だ。
 まず、失礼だが、とても地味です。派手な話はありません。しかし、じんわりとあとから涙が溢れてくるお話です。喪失感とでもいいましょうか。ほんわかとしたなかに、笑みもこぼれるけれど、きっとあとから泣いてしまう。
 家政婦、昔で言えば女中さんの思い出話が主である。
 ただ、時代は戦争直前から戦中、終戦前(ここまで読んだので)です。笑う場合ではないのです。しかし、ほんわかしている。現代に、孫の代の若者から、お婆ちゃんおかしいだろうと指摘されるするくらいだ。
 ここに、この本のよさがある。苦しい時に、ああ苦しいと言うのは簡単だ。あえて、笑おう、へっちゃらだと笑い飛ばそう。そんな感じに力強さを受ける。
 ヨーロッパ系の戦争映画で、ユーモアたっぷりに苦しい時代を生き抜くものがあるが、その手法と似ている。だから、あとからそっと涙がこぼれ落ちるのだ。

 だが図書館の本は返さないといけない。辛いところだな。
by kaseno-sanpo | 2012-01-22 23:26