明るく、笑顔で。陽光浴びて、歩いていこう。

by kaseno-sanpo

さよなら渓谷。

 さよなら渓谷。吉田修一さん。
 ひさしぶり、ホント何年ぶりかで、この作者の本を読んだ。純文学系の作者だと思っていたが、彼の小説はズバリ話の筋が面白い。
 最初は別の話がでて、この線で行くのかなと思ったら、そうじゃない。20ページ過ぎた辺りから、もうどんどん引っ張られますのでご注意ください。
 吉田さんの書く人は、え、こんな人いないだろう。というとこを打ち破ってくる。読んでいて否定したいけど、受け入れそうになる自分が見える。今回の作品も、事件さえなければ変わり映えしない男女の話である。事件があってなお寄り添う二人を、まさかと否定したい人もきっちり描いて読者の気持ちを代弁してくれる。
 こんな人がいても良いじゃないか、という気持ちになるときがある。現実社会は、もっと可笑しな奴らがいっぱいうようよしているぞ、ふと周りを見回したくなる。
 後味は、嫌な気はしない。むしろ、深く考え込んでしまう自分を発見する。
 お薦めは中程度だが、読んで損はない。吉田修一さんはお薦めです。
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by kaseno-sanpo | 2010-11-08 13:25